カテゴリー: Phalacrognathus muelleri

ニジイロクワガタの飼育情報について更新していきます。

  • ニジイロクワガタ(紫紺ピカール) 飼育記録2024-2025

    ニジイロクワガタ(紫紺ピカール) 飼育記録2024-2025

    ニジイロクワガタ(紫紺ピカール)
    Phalacrognathus muelleri
    オーストラリア・クイーンズランド州


    今回は紫紺ピカール系について。今サイクルでは複数ラインで合計150頭以上を管理しました。飼育温度は19-20℃、市販の生オガ発酵マットを水分多めでガチ詰めしています。基本的に交換なしの1本返しで羽化させています。

    こちらは入手から3サイクル目の本命ライン。2022年に都内ショップ様より購入した個体から累代しています。種親の厳選には力を入れており、前胸の強光沢、体型など総合的なクオリティは良好です。

    2025年10月より順次羽化してきました。ガチのサイズ狙いではないので余り気にしていませんが、殆ど大歯の50mm台、最大59mmでした。

    上翅はやや青みがあり前胸の色が薄い傾向はあるのですが、この特徴は遺伝性が無いと考えています。

    過去に非ピカールの青系紫紺を累代していましたが、世代を重ねるごとに上翅の青みは消えて紫が濃くなりました。維持できない特徴を理解した上で楽しめたら良いのではと思います。

    続いて別ラインです。

    2025年11月〜羽化確認。こちらは全体的に前胸が黒っぽい傾向がわかりやすいかと思います。紫紺ピカール×紫紺系(紫紺と他カラーを交配した中間色)ピカールの次世代です。

    完全な紫紺インラインではないので、紫紺と並行して紫紺系(紫紺×他カラーの交配による中間色)も低確率ながら出ます。これはメンデルの法則には当てはまらない、中間遺伝の概念に近いものと捉えています。

    紫紺系に関しては色の個体差も豊かで、上の画像のメスのように一見するとグリーンに見える個体もおり注意が必要です。前胸部は紫紺の影響が見えやすいですが、知らずして100%見抜く自信は私にはありません。

    このような紫紺系を同系色で揃えて累代しても、次世代以降で結局は紫紺が再出現する事になります。本種を見た色だけで判断して名前を付けてしまう限界はこういう事で、飼育にあたっては掛け合わせの記録こそ最重要と考えています。

    そういえば紫紺の来歴について。紫紺作出者様が寄稿された有名雑誌情報では、「紫紺」はグリーン系の選別累代過程で紫紺が出現したことが示されています。2015年に命名され流通が始まったとの事で、ニジイロの輸入開始(1999年〜?)から数えると実に16年を要した事になります。

    その後は紫紺の遺伝のしやすさもあり、2021年頃には既に入手しやすい状態であったと記憶しています。明確な遺伝性があるからこそ、紫紺の命名から10年が経過した2026年においても、当初と変わらない表現で流通が続いている訳です。

    しかし当時は先が見えない中で、一定の飼育数を長期スパンで維持管理し、試行錯誤の末に作り出された事が伺えます。

    具体的な書籍の内容になるので伏せますが、青みの強い紫紺特徴は初期段階から出現していたようです。作出者様は青系紫紺という名称を用いています。

    私は作出者様の命名の妥当性に鑑み、青みの強い紫紺はブルーとは呼ばないスタンスを取り続けています。

    最後までご覧いただきありがとうございました。

  • 劣性遺伝?青紋の遺伝と形質についての考察。

    劣性遺伝?青紋の遺伝と形質についての考察。

    ニジイロクワガタ(青紋)
    Phalacrognathus muelleri
    オーストラリア クイーンズランド州

    今回はニジイロクワガタ「青紋」の形質と遺伝について。考察回です。思うところがあり突貫で書き上げました。

    まず「青紋」の際立つ外見的特徴は、何といっても濃い青色の上翅の紋。上品で美しいですよね。初めて見たときは感動しましたし、どっぷり飼育にハマるきっかけのひとつでした。

    ※ちなみに「紫紺系(紫紺×他カラーを交配した際の中間色)」は青紋と混同されやすいが全くの別モノです。これに関しては紫紺グリーンという呼び方の方が分かりやすいし、誤解も生まれにくい気はする。

    劣性(潜性)遺伝?

    早速ですが青紋の遺伝形式について。

    「上翅の紋」の【出る】【出ない】という二元的な条件においては、メンデルの法則の「劣性(潜性)遺伝」で説明できると考えています。

    理屈だけでは説得力に欠けるので、自身の飼育下での交配例を以下に示します。

    ここではメンデルの法則に則り、純系(ホモ接合体)の青紋を【ww】、野生型(ノーマル)を【WW】とします。

    純系の青紋【ww】同士をインラインで交配した次世代は、理論上100%青紋【ww】となります。少なくとも私の飼育下では同様の結果が得られています。

    またアウトラインの交配も行いました。

    青紋【ww】×野生型【WW】の交配から得られたF1は、外見状は野生型(ノーマル)だが青紋因子は存在する、ヘテロ接合体【Ww】となります。

    そしてF1のヘテロ接合体【Ww】同士を同腹インラインすると、F2では低確率ながら青紋【ww】が出現しました。

    F2で青紋にならなかった個体の中にはヘテロ接合体【Ww】と野生型【WW】が混在しますが、目視での見分けはつきません。

    以上が飼育下での検証で、青紋の「上翅の紋」は劣性遺伝と考えたわけです。また雌雄を逆パターンで交配しても結果は同じでした。

    とはいえ..

    「上翅の紋」だけが青紋の特徴では無いという話。青紋遺伝子は、複数の形質に影響をもたらしている「多面発現」ではないかと考えています。

    ですから形質によっては遺伝形式が異なる可能性もあるわけです。

    そこで今回は青紋の「体表のツヤ消し」形質に注目。特に前胸部を観察する事で分かりやすく、サンドペーパーでヤスリがけしたようなマットな質感です。

    先述した交配の事例に戻ります。
    青紋【ww】×野生型(ノーマル)【WW】を交配したF1(ヘテロ接合体)【Ww】の前胸部を観察したところ、「ツヤ消し」の形質は全個体で観察されました。

    F1で形質が失われないということは、視覚上の「ツヤ消し」形質は劣性遺伝ではないという事になります。

    つまり形質の「どの部分」に着目するかで結論が変わってしまう。

    その他にも「上翅のシワ」、インブリードを繰り返した際の「生育不良(産卵や生育に支障が出る)」の傾向も観察できますが、これらについて、今のところ確実な遺伝性や遺伝形式の結論は出せませんでした。「青紋範囲」についても同様です。

    ただそうはいっても、「青紋」=上翅の紋として認識されている点は重要です。「ツヤ消し」などの形質は副次的で、そもそも一般的に認識されているか怪しいくらいです。

    以上の前提を踏まえるならば、青紋を「劣性遺伝」として説明する事は妥当。少なくとも飼育下でこれを覆す結果は得られていないという話です。

    青紋に関しては複数ラインを数世代、累計で数百頭は管理してきましたが、遺伝形式に例外らしいものは見られませんでした。純系の青紋でインラインをした場合は次世代の青紋率は100%ですから、これを固定可能と評価する事も飼育下での経験的事実には則している。

    ※固定という語は生物学的な定義とブリーダーが言う”俗語”的な解釈が異なっており、誤解が生じやすいかもしれません。

    私はメンデルの法則を正確な確率予測ではなく、飼育下で青紋が【出る】【低確率で出る】【出ない】という大まかな予測ツールとして用いています。個人の飼育条件というものは大抵は母数が少なく、特にアウトラインで交配を行う場合に確率論の計算をしても、結果は理論値から大きく外れやすくなってしまうんですよね。

    最後に私が現在飼育している「青紋」の系統をいくつかご紹介。

    青紋の遺伝は、通常色(レッド・ノーマル・紫紺など)や、ホワイトアイ(劣性遺伝)とは独立に存在し、これら異なる2要素、3要素を重ねた個体(コンボ)は交配条件を設定することで狙って作出することが可能になります。

    ●青紋紫紺系
    青紋×紫紺の交配からの累代。紋の色は紫紺の影響で、通常の紺〜紫色に変化する個体もいる。

    ●青紋ホワイトアイ
    劣性遺伝同士のコンボで、最初に作り上げるプロセスが非常に難易度が高かったであろうと思われます。

    ●青紋レッドホワイトアイ
    青紋は通常は赤と隣り合わせで発色しないため、青紋とレッドのコンボは若干両立の相性が悪いように思います。レッドベースの青紋は鮮明で綺麗ですね。

    このような「コンボ」の存在こそ、青紋の明確な遺伝性を逆説的に示しているともいえます。

    しかし改めて某氏のブログをざっと読みましたが、まあ色々とツッコミどころ満載ですね。

    各タイトルで斬新な問題提起をして回っているものの、自説を確かめようと行動した形跡が見当たらないのは読み手としては困ったものです。

    そこまで遺伝性に違和感があるのであれば、あれこれ口走る前に、手元で交配の検証をすれば良いのでは?とは思いますが。2年程で結果の出揃う簡単なプロセスな訳ですし。

    まさにフラットアース論者、ID論者などが当てはまることですが、検証意欲を見せない懐疑主義者ってもはや説得不能じゃないですか。そうかと思えばハルシネーションの可能性すら疑わずにAIの出力をポンと引っ張ってくる訳で、こちらは毎度驚かされるばかりです。

    最後までご覧いただきありがとうございました。

    参考資料
    江島洋介「これだけは知っておきたい図解ジェネティクス」オーム社 2021

  • ニジイロクワガタ(青紋紫紺) |飼育記録Vol.3

    ニジイロクワガタ(青紋紫紺) |飼育記録Vol.3

    ニジイロクワガタ(青紋紫紺)
    Phalacrognathus muelleri
    オーストラリア クイーンズランド州

    前サイクルの飼育記録はこちら

    コバシャ小ケースマットガチ詰め×3セットから80頭ほどの幼虫が得られました。2025年9月頃〜羽化確認。

    当ラインは(加水量の調整を間違えなければ)800ccマットボトル1本で安定して大歯を出せるようになりました。20℃以下の温度で管理し、3世代は同メーカーの生オガで管理している影響もあるかもしれません。

    早速ですが今回羽化した個体はこちらになります。

    1. 青紋紫紺(完全体)

    通常の紫紺に見えますが、青紋(ホモ接合)です。青紋の特徴で前胸は艶消しでマットな質感です。上翅のザラつきや皺はある程度個体差・ライン差があったりして、やはり写真では伝わりきらない部分もあります。できれば実物を見て見慣れるのが良いでしょう。

    2. 青紋紫紺系

    紫紺系(中間色)に青紋がのったタイプです。
    「青紋紫紺」といえば、このような発色をイメージされる方が多いかと思います。しかしあくまでも紫紺の中間色ですので、このタイプを数世代にわたり100%固定!というのは出来ないと考えています。これを高確率で狙って出す方法は1.×3.です。

    青紋範囲が広がった個体は格別の美しさがあります。範囲の狭い個体は上翅の両サイドに小さく発色します。青紋部分が通常の濃い青〜紫色に変化するのもポイントです。

    3. 青紋(ノーマル寄り)

    一般的に青紋の通常色として出回っているやつです。2. のインラインから一定数出ます。前胸がやや緑っぽかったりと紫紺の影響は受けていることは分かりますが、何も知らずにパッと見せられると言い切れないと思います。

    最後までご覧いただきありがとうございました。