ニジイロクワガタ青紋紫紺 |飼育記録Vol2

ニジイロクワガタ
Phalacrognathus muelleri
オーストラリア クイーンズランド州

記事を読まれている方の中にはそもそも青紋紫紺って何??という感じの方も多くいらっしゃるはずですので、まずは要素として重要な”青紋”と”紫紺”という概念から説明したいと思います。青紋とは羽の一部〜全体かけて現れる紺色の紋のことです。青紋の特徴は羽だけではありません。前胸(厳密にいえば腹部や脚なども)極端に艶消し、また傾向としてですが羽には細かなシワが入ることが多いです。

青紋×ノーマルのアウトラインを試したところ、F1では全個体がノーマル発色、次のF2では一部の個体のみ青紋が発色しました。よって青紋は潜性(劣勢)遺伝ではないかと考えています。下の写真のように範囲が狭い青紋の個体は羽の両端を中心に発色します。青紋面積の広い個体では羽全体的に発色する場合があります。流通数や一般的な知名度はかなり低いですが、青紋は理論上は通常カラー(レッド・グリーン・紫紺)と両立が可能となります。2024年現在では青紋レッド、青紋紫紺は既に複数のブリーダー様によって作出されて流通し始めているところです。

次に紫紺について。紫紺とはその名の通り紫色〜青みがかった紫色の表現をするカラーです(下の写真は紫紺ピカール系です)。以前は希少でしたが、遺伝のしやすさもあり2024年現在ではかなり流通量の多いタイプとなります。元々はグリーンを累代していった過程で出現したと言われています。

長くなりましたが、この青紋と紫紺の両方の特徴を両立させたのが青紋紫紺系ということになります。また青紋は他の通常色(レッド・グリーン・紫紺)であれば両立可能です。一般的に販売されている青紋はノーマルカラーベースの個体が多いので、まずは青紋×紫紺の組み合わせから選別交配を行います。今回の記事で紹介するラインは、元々累代していた青紋紫紺系オス×新しく導入した別系統のメス(ヘテロ)の掛け合わせでリスタートしました。


●産卵セット
産卵用のマットをガチ詰めしたものを使用。小ケースから1度の割り出しで60頭以上を確保しました。予想外の爆産でしたが、残念ながら中のメスは死亡していたため追加は無し….

●幼虫飼育
今回も全てマットで飼育しました。個人的にホダオガ・生オガどちらでもそこそこのサイズにはなるイメージです。生オガは若干扱いが難しいですが、うまくハマるとかなり良い結果が得られます…。ボトル投入から4ヶ月経過したところで20-22gまで成長したオスは2本目のボトルへ交換しました。メスは全て1本返しで飼育しました。※20℃という低温環境のため幼虫期間は他の飼育者さんより長いと思われます。

●羽化結果
今回はしっかり幼虫の面倒を見れたため、オスの8割ほどが大歯で羽化することになりました。そして60匹以上抱えて不全死個体2匹のみという形で、若干血が濃いながらまあまあ良い結果だと思います。青紋は累代障害が課題となることが多いですが、今回はインラインしても問題ないと判断しました。

青紋紫紺系
この中から重点的に次の種親候補を絞ってきます。複数頭大歯が羽化したのもポイントが高いですね!青紋紫紺系特有のマゼッタピンク色が羽に広がっている個体を優先していきたいと思います。

青紋
通常の青紋も雌雄ともにそれなりに出現しました。どれにも似たような個体のため写真は少なめですが、同腹の紫紺化したオスに掛け合わせるには良さそうです。

紫紺
羽化個体の2割ほどは完全に紫紺化した個体になりました。


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