投稿者: hiroki

  • インコグニトゥスホソアカクワガタ 飼育記録2025-2026

    インコグニトゥスホソアカクワガタ 飼育記録2025-2026

    インコグニトゥスホソアカクワガタ
    Cyclommatus incognitus
    インドネシア 西スマトラ ソロク Mt. Talang

    特に生体では流通の少ないホソアカです。一度に大量に来るイメージがないので、沢山は取れない種なのでしょう。イベントの際にStag & Stuck様から成虫2ペア購入させていただきました。

    産地はスマトラ島ソロクのMt. Talangで、標高はどこをとっても1200〜2500mはあるようです。幼虫は低温管理で問題無さそうですがマレー半島では低地にも棲息しているようで、これだけでは温度の正解が掴めませんね。情報もあまり無いので手探りの飼育です。

    ●産卵セット
    ホソアカの幼虫使用済みマットを丁寧にほぐして攪拌し、新品マットと混合して水分かなり多めに加水。コバシャ小ケースにハンドプレス機を用いて詰めていきます。下5割は固く詰め、上はふんわり詰めです。

    2025.9.4初回の割り出し。2頭の幼虫に卵は複数。私の環境ではダラダラと産むようで、一気に沢山取れる希望が見えてきません。もう少し温度高い方がいい気もします。卵で割り出すと孵化率が悪いようです。

    2025.10.202回目の割り出しで採れた幼虫数は僅かに1頭。どうやらメスは長生きなようで、2頭とも元気に生存しています。ちなみにこの後は種切れが来たのか追加は無しです。

    産卵セット
    ホソアカの幼虫使用済みマットを丁寧にほぐして攪拌し、新品マットと混合して水分かなり多めに加水。コバシャ小ケースにハンドプレス機を用いて詰めていきます。下5割は固く詰め、上はふんわり詰めです。

    2025.9.4
    初回の割り出し。2頭の幼虫に卵は複数。私の環境ではダラダラと産むようで、一気に沢山取れる希望が見えてきません。もう少し温度高い方がいい気もします。卵で割り出すと孵化率が悪いようです。

    2025.10.20
    2回目の割り出しで採れた幼虫数は僅かに1頭。どうやらメスは長生きなようで、2頭とも元気に生存しています。ちなみにこの後は種切れが来たのか追加は無しです。

    ●幼虫飼育
    発酵マット1本返しです。水分は多めに設定しています。

  • 光学素子を用いたニジイロクワガタの構造色観察

    光学素子を用いたニジイロクワガタの構造色観察

  • メタリフェルホソアカクワガタ (アエノミカンス) 飼育記録2025-2026

    メタリフェルホソアカクワガタ (アエノミカンス) 飼育記録2025-2026

    産卵セット

    幼虫飼育

    羽化個体

    還元率??

  • 【標本】マライタ島産 スペキオススホソアカクワガタ

    【標本】マライタ島産 スペキオススホソアカクワガタ

    スペキオススホソアカクワガタ
    Cyclommatus speciosus anepsius
    ソロモン諸島 マライタ島

    マライタ島産 スペキオススホソアカクワガタ

    野外個体20頭ほどが手元に届きました。本種はキクロマトス属内でも特に好きな種類ですからとても嬉しいです。しかし届いた時にカビだらけで大変なことになっていて、エタノール漬け→軟化→乾燥機で対処しました。

    野外個体20頭ほどが手元に届きました。本種はキクロマトス属内でも特に好きな種類ですからとても嬉しいです。しかし届いた時にカビだらけで大変なことになっていて、エタノール漬け→軟化→乾燥機で対処しました。

    マライタ島はソロモン諸島内でも特に流通の多い産地で、飼育で特に大型個体が羽化するようです。今回入手した個体は最大52mm、最小39mmと特大クラスは居ないものの、各歯形がざっと揃い満足しています。余談ですがラテン語の”speciosus” を調べたところ「美しい」「見栄えのする」という意味なんですね。

    体色は赤褐色〜薄いグリーンまで個体差が豊かです。基歯はマライタ産の場合は真上ビューからは見えず、真横から見ると2つの基歯はほぼ同じ長さ、歯の向きもほとんど同じ方向に伸びています。

    こちらの個体は腿節の黄紋が(前脚のごく狭い範囲を除き)消失しています。本種に限らずキクロマトス属における黄紋の出現は、少なくとも島単位で強い傾向はあるようです。

    ただ同産地の個体を集めても紋の範囲には明らかな個体差が存在し、外れ値的に100%紋が消失する個体が居てもおかしくはないと思います。今後もより多くの個体を手に入れて調べてみたいところです。

    割愛しましたが、顎折れなど損傷の目立つ個体も一部おり、野生下での闘争の激しさが感じられます。飼育下でもペアリング時の事故が頻繁に報告されており、基本的に大人しい種の多い本属の中では異例ともいえる気性の荒さではないでしょうか。

    1つ産地が手に入ると今度は各島を集めたくなりますね。特にベララベラ島と原名亜種のブーゲンビル島。最後までご覧いただきありがとうございました。

  • 補足編:多面発現と遺伝形式

    補足すべきことが多々あり追記しました。

    前回記述した通り、青紋遺伝子は「上翅の紋」「艶消し」など複数の形質を有する多面発現であると考えています。しかしひとつの遺伝子座が複数の形質に影響し、それぞれ異なる遺伝形式をもつことが現実的にあり得るのか?

    これについてはヒトの鎌状赤血球症の事例が分かりやすいかと。これはHBB遺伝子座による遺伝子疾患であり、複数の形質(貧血症・マラリア抵抗性)を持つことで有名ですが、臨床症状としての貧血症状は劣性遺伝、マラリア抵抗性は優性遺伝と説明されます。

    さらに劣性遺伝について少し補足。メンデルの法則でお馴染みのエンドウマメの「シワ」の形質ですが、実は顕微鏡でヘテロ接合体を観察すると、微細な皺が見られるそうです。つまり肉眼レベルでは劣性遺伝、顕微鏡レベルの観察では不完全優性とも言えてしまうわけです。

    単一の遺伝をみても形質ごとに遺伝形式は異なりますし、形質を観察するスケール次第で結論が変わってしまう点は留意すべきではないかと。

    ちなみに青紋の判別ですが「青紋範囲に関わらず、紋さえ出ていれば青紋(ホモ接合体)」で問題ないはずです。紋あり(ホモ接合体)同士で交配した際に、範囲の大小に関わらず次世代は100%紋ありが出現するためです。

    またホモ(紋あり)×ヘテロ(紋なし)の交配を実施しましたが、次世代の青紋率は100%とならずホモとヘテロ両方が出現します。以上の交配例から、紋が全く出ない場合をヘテロ接合体として扱うことが妥当と考えたわけです。※ヘテロ同士の交配パターンでは、次世代でホモ・ヘテロ・野生型が混在するため扱いに注意が必要です。

    遺伝形式を説明するのであれば、交配結果や分離データで確認する必要があります
    ここは読んでいて思わず吹き出しそうになりました。

    青紋の遺伝について熱心にブログで書き書きしているのは貴方では?その理屈では数字出して議論する責任は当然そちらにもあると思うのですが。「検証の時間を捻出できない」と公言されてしまった以上、ご自身が議論するポジションに居ない事を自供してしまったという事になりますが良いのですか?

    「母数がないと認めない、母数があっても認めない、自分は時間がないから確かめないけど好きに書く」こういう事を平気で言えちゃうものなのかと。

    またn数を増やせば法則通りの理論値に近づくとは限りません。エピスタシスの可能性は?適応度(ω)による浄化選択は?これまた変数が多すぎて言い出したらキリがない。

    毎度毎度、後手で「火消し」に回るこちらの気持ちも察してほしいです。多かれ少なかれ虫を扱う際にはセンスが問われると思うのですが、手取り足取り説明した上で理解されないのは、これまた別の問題なのかなと。

    最後に青紋コンボについて。初期の青紋はノーマルから若干レッド寄りの前胸色を有していました。その後に青紋×他形質の交配が各ブリーダによって熱心に取り組まれて様々なコンボが出現していったのです。例えば青紋紫紺に関しては、青紋×紫紺のアウトライン交配から作出されています。

    ここ5年位の動向を追うだけでも、青紋のベース色が多様化した理由は推察可能と思うのですが。とはいえインターネット上の情報も一定の「目利き」が必要というのもまた事実。

    追記。
    検証する際のn数は多いに越したことは無いが、ショウジョウバエなど一部のモデル生物を除き、コスト面でハードルが高いのが実情です。実際に科学雑誌においても非常に少ない観察数で遺伝形式を示唆する場合は往々にしてあります。

    また消去による帰納法で再考した場合も結論は同じと考えられます。既に示した結果により優性・不完全優性・共優性遺伝は選択肢から外れます。交配パターンの雌雄を逆にした試行でも結果は変わらず、伴性遺伝も選択肢から外れる。残る結論は先述した通りです。

    ここで日本語の話をしても不毛なのですが、「違和感」「噛み合わない」「話が合わない」は明らかな否定表現なんですよね。否定表現を用いて遺伝形式の説明を行なっている以上、氏が言い出した「立証責任」「最低限必要な検証」が発生する点に早く気づかれた方が良いのではと。

    己の求めるデータが世に出ていない場合、それは自分で取りに行くのが大前提です。

    あくまで直近の交配例を示すとすると、青紋×野生型の交配で得られたF1を21頭管理、結果は全て紋なしでした。同様の交配は過去4回は試しましたが常に結果は先に示したものと同様でした。

    これ自体が理想的なn数かはさておき、時間を言い訳に検証しない人間が無努力で、臆面もなく強請るものでない事だけは確かなのです。

    最後までご覧いただきありがとうございました。

  • キプルツヤクワガタ 飼育記録 2026

    キプルツヤクワガタ 飼育記録 2026

    キプルツヤクワガタ
    Odontolabis cypri
    ボルネオ島 サバ州 トゥルスマディ山

    2026.3.1
    浜松町の生体即売会にてWD♀単品(B品)を購入。2月1日入荷でサイズは29.4mmでした。後脚が欠けていますが元気です。

    2026.3.2
    スダジイ赤ガレに少量のNマット、カステルナウディツヤの糞をおまじない程度に入れてねっとり撹拌。水分は多めに加水し、コバシャ小ケースに加圧せずに入れました。温度は19度ほどです。

    2026.3.10
    産みました!!卵はたこ焼き大の土球の中に産み付けられています。球を作るのに結構時間がかかるようで、8日で2球→2卵を回収。

    実はOdontolabis属の産卵実績は本種が初で、これまでWD購入→撃沈が続いていただけに嬉しすぎます。ちなみに今回使ったNが若干古そうだったのですが、それがかえって功を奏した感はあります。あえて寝かせたものを選ぶのも、技術のうち。

    2026.4.1
    2回目の割り出し。一度産卵がストップしてしまい、土の粘性を上げて再セットしたところ良く反応しました。5卵の追加です。基本的に土球1つに卵は1つのようです。しかし器用に作りますよね。先に回収した卵も健康そうで一安心です。

    2026.5.1
    初令幼虫の孵化を確認しました。孵化まで2ヶ月弱はかかるんですね、

    おそらく幼虫期間長そうですし、一旦ブログだけ上げちゃいます。経過は逐一追記するスタイルで。

    その後の経過ですがコバシャ内で全滅しました。泣いてよろしいでしょうか?こんなの飼育記録ではないよの声が聞こえてきそうです。

    最後までご覧いただきありがとうございました。

  • ディディエールシカクワガタ 飼育記録2024-2026

    ディディエールシカクワガタ 飼育記録2024-2026

    ディディエールシカクワガタ
    Rhaetulus didieri
    マレーシア キャメロンハイランド

    2024.4.29
    京都府の昆虫ショップ、インセクトマングローブ様から、キャメロンハイランド産のフリーサイズペアを購入。累代はCBF1です。

    2024.6.19
    コバシャ小ケースに柔め産卵材1本を埋め込みでセット。水分量は少なめに調整しました。翌月に割り出しを実行し、わずかに初令幼虫4頭を回収しました。材産み種は相変わらずコツがさっぱり掴めず苦手です。

    2024.8.2
    初令幼虫を800ccボトルに投入。餌はDOS生マットを選択し、詰め圧は程々に水分量は多すぎない目安を心がけました。ひとまず室温20℃のブリード部屋にて管理します。

    2025.2.2
    投入から半年経過し3令になりました。この時点で4頭中3頭が生存で全てオス判定。これは羽化ズレを気にせずサイズ狙いに挑戦する良い機会と思い、同マットをガチ詰めした2300ccボトルに全頭を交換。

    交換後は低温ホソアカを管理している17℃±1のワインセラー内にて様子をみることに。大容器管理で温度を下げると、幼虫は壁面にはほとんど現れなくなります。見えないのはどうしても不安になるものですが、しばらくすると生存は確認できていました。

    今回の産地であるキャメロンハイランドですが、夜はかなり冷え込みます。昼間は日差しがあり半袖でも大丈夫なんですけどね。最近は入荷のあるゲンティンの方も似た感じの気候です。やはり現地の気温を考えると17℃は妥当な範囲の温度設定と思います。

    2025.7.11
    知人から譲っていただいた別のワインセラーに移動。試しに18℃±1に設定したところボトル側面に出てきてしまったので、すぐに下げ直し。

    2025.10.29
    全頭がボトル側面で活発に活動していたため、蛹化前の動きと判断。ワインセラーから取り出し通常管理(19-20℃)へ。まもなく一斉に蛹室を作り始めました。

    ここから羽化までは個別の記録となります。

    ●No.1 2026.1.26羽化
    蛹10.0g→73.8mm

    容量交換日体重(投入時)
    1本目800cc2024.8.2
    2本目2300cc2025.2.210.0g
    3本目2300cc2025.7.3016.7g
    →蛹10.0g

    体重の割に顎の伸びている蛹になりました。実際に後続と比較して明らかに還元率も良好でした。

    ●No.2 2026.2.3羽化
    蛹10.0g→69.2mm

    容量交換日体重(投入時)
    1本目800cc2024.8.2
    2本目2300cc2025.2.29.8g
    →蛹10.0g

    こちらは当初から幼虫体重が乗らず、後半戦での挽回も無く羽化した個体。蛹体重自体は一頭目と全く同じ数値ですが、羽化サイズは数ミリ単位で違いが出ています。

    ●No.3 2026.2.6
    蛹14.1g→80.2mm

    容量交換日体重(投入時)
    1本目800cc2024.8.2
    2本目2300cc2025.2.212.8g
    →蛹14.1g

    これでラスト個体です。一回目の交換で最も体重が乗っていた個体。居食いし全ステージで落ち着いており、あまり壁面にも現れませんでした。無駄な体重ロスなしで走り切ってくれた印象で、理想的な育ち方です。

    体重的にもう少しサイズ稼げると思ったのですが、そう簡単にいくものではないですよね。高還元で厳選して累代するなどの基礎的な積み重ねが必要であろうと実感します。

    固まったので最大個体を撮影。大顎基部の外側は突起が鋭く発達しており、個人的お気に入りポイントです。戦闘時にストッパー的な役割があるのではないかと思います。

    まとめ

    初飼育のディディエールシカクワガタ。条件さえしっかり整えれば素直に育ち、特段の気難しさはあまり感じさせない良い虫です。

    残念ながらペアで揃わず一旦累代は終了ですが、今後また良い機会があれば飼育したいと思います。甘えた事言うなと言われそうですが、頭数が少ないので記事にしやすかったです。

    今回使用したマットはお手頃な市販品単体の使用でしたので、その辺りも色々と拘ればさらに上も狙えるのではないでしょうか。

    最後までご覧いただきありがとうございました。

  • ニジイロクワガタ(紫紺ピカール) 飼育記録2024-2025

    ニジイロクワガタ(紫紺ピカール) 飼育記録2024-2025

    ニジイロクワガタ(紫紺ピカール)
    Phalacrognathus muelleri
    オーストラリア・クイーンズランド州


    今回は紫紺ピカール系について。今サイクルでは複数ラインで合計150頭以上を管理しました。飼育温度は19-20℃、市販の生オガ発酵マットを水分多めでガチ詰めしています。基本的に交換なしの1本返しで羽化させています。

    こちらは入手から3サイクル目の本命ライン。2022年に都内ショップ様より購入した個体から累代しています。種親の厳選には力を入れており、前胸の強光沢、体型など総合的なクオリティは良好です。

    2025年10月より順次羽化してきました。ガチのサイズ狙いではないので余り気にしていませんが、殆ど大歯の50mm台、最大59mmでした。

    上翅はやや青みがあり前胸の色が薄い傾向はあるのですが、この特徴は遺伝性が無いと考えています。

    過去に非ピカールの青系紫紺を累代していましたが、世代を重ねるごとに上翅の青みは消えて紫が濃くなりました。維持できない特徴を理解した上で楽しめたら良いのではと思います。

    続いて別ラインです。

    2025年11月〜羽化確認。こちらは全体的に前胸が黒っぽい傾向がわかりやすいかと思います。紫紺ピカール×紫紺系(紫紺と他カラーを交配した中間色)ピカールの次世代です。

    完全な紫紺インラインではないので、紫紺と並行して紫紺系(紫紺×他カラーの交配による中間色)も低確率ながら出ます。これはメンデルの法則には当てはまらない、中間遺伝の概念に近いものと捉えています。

    紫紺系に関しては色の個体差も豊かで、上の画像のメスのように一見するとグリーンに見える個体もおり注意が必要です。前胸部は紫紺の影響が見えやすいですが、知らずして100%見抜く自信は私にはありません。

    このような紫紺系を同系色で揃えて累代しても、次世代以降で結局は紫紺が再出現する事になります。本種を見た色だけで判断して名前を付けてしまう限界はこういう事で、飼育にあたっては掛け合わせの記録こそ最重要と考えています。

    そういえば紫紺の来歴について。紫紺作出者様が寄稿された有名雑誌情報では、「紫紺」はグリーン系の選別累代過程で紫紺が出現したことが示されています。2015年に命名され流通が始まったとの事で、ニジイロの輸入開始(1999年〜?)から数えると実に16年を要した事になります。

    その後は紫紺の遺伝のしやすさもあり、2021年頃には既に入手しやすい状態であったと記憶しています。明確な遺伝性があるからこそ、紫紺の命名から10年が経過した2026年においても、当初と変わらない表現で流通が続いている訳です。

    しかし当時は先が見えない中で、一定の飼育数を長期スパンで維持管理し、試行錯誤の末に作り出された事が伺えます。

    具体的な書籍の内容になるので伏せますが、青みの強い紫紺特徴は初期段階から出現していたようです。作出者様は青系紫紺という名称を用いています。

    私は作出者様の命名の妥当性に鑑み、青みの強い紫紺はブルーとは呼ばないスタンスを取り続けています。

    最後までご覧いただきありがとうございました。

  • 劣性遺伝?青紋の遺伝と形質についての考察。

    劣性遺伝?青紋の遺伝と形質についての考察。

    ニジイロクワガタ(青紋)
    Phalacrognathus muelleri
    オーストラリア クイーンズランド州

    今回はニジイロクワガタ「青紋」の形質と遺伝について。考察回です。思うところがあり突貫で書き上げました。

    まず「青紋」の際立つ外見的特徴は、何といっても濃い青色の上翅の紋。上品で美しいですよね。初めて見たときは感動しましたし、どっぷり飼育にハマるきっかけのひとつでした。

    ※ちなみに「紫紺系(紫紺×他カラーを交配した際の中間色)」は青紋と混同されやすいが全くの別モノです。これに関しては紫紺グリーンという呼び方の方が分かりやすいし、誤解も生まれにくい気はする。

    劣性(潜性)遺伝?

    早速ですが青紋の遺伝形式について。

    「上翅の紋」の【出る】【出ない】という二元的な条件においては、メンデルの法則の「劣性(潜性)遺伝」で説明できると考えています。

    理屈だけでは説得力に欠けるので、自身の飼育下での交配例を以下に示します。

    ここではメンデルの法則に則り、純系(ホモ接合体)の青紋を【ww】、野生型(ノーマル)を【WW】とします。

    純系の青紋【ww】同士をインラインで交配した次世代は、理論上100%青紋【ww】となります。少なくとも私の飼育下では同様の結果が得られています。

    またアウトラインの交配も行いました。

    青紋【ww】×野生型【WW】の交配から得られたF1は、外見状は野生型(ノーマル)だが青紋因子は存在する、ヘテロ接合体【Ww】となります。

    そしてF1のヘテロ接合体【Ww】同士を同腹インラインすると、F2では低確率ながら青紋【ww】が出現しました。

    F2で青紋にならなかった個体の中にはヘテロ接合体【Ww】と野生型【WW】が混在しますが、目視での見分けはつきません。

    以上が飼育下での検証で、青紋の「上翅の紋」は劣性遺伝と考えたわけです。また雌雄を逆パターンで交配しても結果は同じでした。

    とはいえ..

    「上翅の紋」だけが青紋の特徴では無いという話。青紋遺伝子は、複数の形質に影響をもたらしている「多面発現」ではないかと考えています。

    ですから形質によっては遺伝形式が異なる可能性もあるわけです。

    そこで今回は青紋の「体表のツヤ消し」形質に注目。特に前胸部を観察する事で分かりやすく、サンドペーパーでヤスリがけしたようなマットな質感です。

    先述した交配の事例に戻ります。
    青紋【ww】×野生型(ノーマル)【WW】を交配したF1(ヘテロ接合体)【Ww】の前胸部を観察したところ、「ツヤ消し」の形質は全個体で観察されました。

    F1で形質が失われないということは、視覚上の「ツヤ消し」形質は劣性遺伝ではないという事になります。

    つまり形質の「どの部分」に着目するかで結論が変わってしまう。

    その他にも「上翅のシワ」、インブリードを繰り返した際の「生育不良(産卵や生育に支障が出る)」の傾向も観察できますが、これらについて、今のところ確実な遺伝性や遺伝形式の結論は出せませんでした。「青紋範囲」についても同様です。

    ただそうはいっても、「青紋」=上翅の紋として認識されている点は重要です。「ツヤ消し」などの形質は副次的で、そもそも一般的に認識されているか怪しいくらいです。

    以上の前提を踏まえるならば、青紋を「劣性遺伝」として説明する事は妥当。少なくとも飼育下でこれを覆す結果は得られていないという話です。

    青紋に関しては複数ラインを数世代、累計で数百頭は管理してきましたが、遺伝形式に例外らしいものは見られませんでした。純系の青紋でインラインをした場合は次世代の青紋率は100%ですから、これを固定可能と評価する事も飼育下での経験的事実には則している。

    ※固定という語は生物学的な定義とブリーダーが言う”俗語”的な解釈が異なっており、誤解が生じやすいかもしれません。

    私はメンデルの法則を正確な確率予測ではなく、飼育下で青紋が【出る】【低確率で出る】【出ない】という大まかな予測ツールとして用いています。個人の飼育条件というものは大抵は母数が少なく、特にアウトラインで交配を行う場合に確率論の計算をしても、結果は理論値から大きく外れやすくなってしまうんですよね。

    最後に私が現在飼育している「青紋」の系統をいくつかご紹介。

    青紋の遺伝は、通常色(レッド・ノーマル・紫紺など)や、ホワイトアイ(劣性遺伝)とは独立に存在し、これら異なる2要素、3要素を重ねた個体(コンボ)は交配条件を設定することで狙って作出することが可能になります。

    ●青紋紫紺系
    青紋×紫紺の交配からの累代。紋の色は紫紺の影響で、通常の紺〜紫色に変化する個体もいる。

    ●青紋ホワイトアイ
    劣性遺伝同士のコンボで、最初に作り上げるプロセスが非常に難易度が高かったであろうと思われます。

    ●青紋レッドホワイトアイ
    青紋は通常は赤と隣り合わせで発色しないため、青紋とレッドのコンボは若干両立の相性が悪いように思います。レッドベースの青紋は鮮明で綺麗ですね。

    このような「コンボ」の存在こそ、青紋の明確な遺伝性を逆説的に示しているともいえます。

    しかし改めて某氏のブログをざっと読みましたが、まあ色々とツッコミどころ満載ですね。

    各タイトルで斬新な問題提起をして回っているものの、自説を確かめようと行動した形跡が見当たらないのは読み手としては困ったものです。

    そこまで遺伝性に違和感があるのであれば、あれこれ口走る前に、手元で交配の検証をすれば良いのでは?とは思いますが。2年程で結果の出揃う簡単なプロセスな訳ですし。

    まさにフラットアース論者、ID論者などが当てはまることですが、検証意欲を見せない懐疑主義者ってもはや説得不能じゃないですか。そうかと思えばハルシネーションの可能性すら疑わずにAIの出力をポンと引っ張ってくる訳で、こちらは毎度驚かされるばかりです。

    最後までご覧いただきありがとうございました。

    参考資料
    江島洋介「これだけは知っておきたい図解ジェネティクス」オーム社 2021

  • ニジイロクワガタ(青紋紫紺) |飼育記録Vol.3

    ニジイロクワガタ(青紋紫紺) |飼育記録Vol.3

    ニジイロクワガタ(青紋紫紺)
    Phalacrognathus muelleri
    オーストラリア クイーンズランド州

    前サイクルの飼育記録はこちら

    コバシャ小ケースマットガチ詰め×3セットから80頭ほどの幼虫が得られました。2025年9月頃〜羽化確認。

    当ラインは(加水量の調整を間違えなければ)800ccマットボトル1本で安定して大歯を出せるようになりました。20℃以下の温度で管理し、3世代は同メーカーの生オガで管理している影響もあるかもしれません。

    早速ですが今回羽化した個体はこちらになります。

    1. 青紋紫紺(完全体)

    通常の紫紺に見えますが、青紋(ホモ接合)です。青紋の特徴で前胸は艶消しでマットな質感です。上翅のザラつきや皺はある程度個体差・ライン差があったりして、やはり写真では伝わりきらない部分もあります。できれば実物を見て見慣れるのが良いでしょう。

    2. 青紋紫紺系

    紫紺系(中間色)に青紋がのったタイプです。
    「青紋紫紺」といえば、このような発色をイメージされる方が多いかと思います。しかしあくまでも紫紺の中間色ですので、このタイプを数世代にわたり100%固定!というのは出来ないと考えています。これを高確率で狙って出す方法は1.×3.です。

    青紋範囲が広がった個体は格別の美しさがあります。範囲の狭い個体は上翅の両サイドに小さく発色します。青紋部分が通常の濃い青〜紫色に変化するのもポイントです。

    3. 青紋(ノーマル寄り)

    一般的に青紋の通常色として出回っているやつです。2. のインラインから一定数出ます。前胸がやや緑っぽかったりと紫紺の影響は受けていることは分かりますが、何も知らずにパッと見せられると言い切れないと思います。

    最後までご覧いただきありがとうございました。