アスタコイデスノコギリクワガタ
Prosopocoilus astacoides pallidipennis
インドネシア スマトラ島 ベンクール
地獄といえばアスタコ。最大亜種ミズヌマイと比べたら緩やかですが、大顎中央から外側に湾曲する個体も見られます。マット飼育の場合手抜きでデカくなる感じはしませんので、細かい技術がサイズに反映される種類の印象です。後述しますが特に交換タイミングが難しくて、悩みに悩んだ末まともな結論は出ず。
さて今回は2回目に購入した野外品からのWF1について羽化結果までざっと書いていきます。前回の飼育から得たものを活かしつつ、今年は数を抱えてサイズを狙う方針に。産地はいつも通りスマトラ島のベンクール。隔年ですがレコードは頻繁に更新されており、狙い目とはいえ壁は高くなったという印象です。2024年に更新された新レコードはジャワ産で、そちらもいつか飼育してみたいですね。
幼虫飼育
1月初旬から中旬にかけて、初令初期の幼虫を順次投入していきます。エサは既製品の生オガ発酵マットを使用。高水分のガチ詰めに設定して居食い化を狙いました。容器は一貫して800ccクリアボトルを使用し、投入から5ヶ月経過したところで一部のオスは2本目に交換しました。
メタリのレコード獲得のブログでも記述しましたが、本種の場合も嫌気発酵を意識的に再現して比較的大型個体を羽化させています。キクロマトス属では既によく知られている飼育法だと思いますが、他属でも有意な飼育法なのかもしれませんね。しかし他の亜種では乾燥気味で大型羽化に成功されている飼育者様もいるようですので、これが正解というものは決めつけない方が良さそうです。
メスは8月から、オスは10月中旬から羽化が始まりました。管理温度20℃って特に攻めた飼育じゃないんですが、幼虫期間は順当に引っ張れている印象です。そして雌雄ともに同じ環境にセッティングしているものの羽化ズレは多少出てしまいます。雌雄ともに数ヶ月間寝ると思うのですが、活動後もそれなりに長生きするので繁殖に大きな影響があるものではないのかなと。
羽化結果
2024.10.20
大型オスの羽化を確認しました。仮計測70.2で縮んで68くらいになるでしょうか。初期羽化の割には比較的大きいので後続に期待が持てますね。
2024.10.29
ぼちぼち羽化が続いていますが、飛び抜けたサイズは出ず。これも固まって69くらいあれば笑。
ちなみに顎の湾曲と太さに関してはほぼ同サイズでも個体差が大きく観察のしがいがあります。この写真の個体は細身で、こういうスタイルの方が還元率も比較的良さそうに見えますね。
2024.11.10
初動の羽化第一波が終わり少し経過。今までと比べて頭ひとつ抜けて大型の個体が羽化!羽化サイズが伸び悩んでいたところだったので本当に嬉しいです。前サイクルの最高69から→72mm Overと自己記録を大幅更新。頭部の突起と溝が発達していてカッコ良すぎます。こんな感じ→(^T^)!!
ちなみにこちらの個体は1本返し羽化。成長期に一度交換を挟んで2本羽化のパターンの方が伸びると思って飼育していたので予想を裏切る結果。ちなみに2本返し羽化の個体ですが、体重14gで期待していた個体は全然伸びなかったり蛹で落ちたりとあまりいい結果は出ず。新しいマットに食いカス混ぜるなど調整はしたつもりでしたが、それなりに環境変化に敏感な印象を受けます。
それでは1本返しが全てにおいて正解かというとそうではなさそうでした。途中経過をチェック中に明らかに大きそうな幼虫数匹にチェックつけていたのですが、最後に縮んでしまったのか全くサイズには反映されず。投入から10ヶ月も経過すれば当然ボトル内密度が低下しますし、暴れによる体力消耗になりうるのかなと。画一的な飼育ではなく様子を見ながら個体に合わせての飼育がいいのかなと思います(管理数的に質の高い飼育は難しいですが)
残りの蛹もまだ数多く抱えており、これからの羽化結果も楽しみです。基本的に羽化後半に従ってサイズは徐々にアップしていくのが定石なんですよね。大型個体は前蛹期間も含め全てのステージが長いので、羽化一頭目が最大サイズという場合は飼育方法を見直した方が良い印象は受けます。ちなみに羽化終盤には条件が合わずヒネた小さいオスが羽化することがありますね。
スマトラ・ジャワのアスタコですが、良い虫だけど地獄だから〜で敬遠する人は多い印象なんですけど、一度デカいの飼育で出しちゃうとやめられない魅力があります。毎年それなりにWILD入っているのに、飼育品全然見かけないのは何故!と思ってしまいます。アスタコ飼育人口増えて欲しいという個人的な意見でした。今後も逐一追記していきます。最後までご覧いただきありがとうございました。