スクテラリスホソアカクワガタ 中国亜種
Cyclommatus scutellaris elsae
中国 四川省 雅安市 滎経県

今回初登録で本種のレコード申請を行いました。誌面で拝見しました皆様もおめでとうございます。3年連続何かしらの種で更新を続けることができました。
星数については野外最大との差が大きいという事で、お恥ずかしながら正当な評価なのかなと。。入荷するWD個体は軒並み30mm台で大きくならないかと思いきや、中国鍬甲大図鑑での最大値が驚きの48mmなんですよね。愛好家が多い国の野外最大値は数値的に飛び抜けていそうで、飼育でこれを打ち破るというのはイメージが湧かず悩まされます。
それでは飼育記録です。
2025.4.26
現地幼採羽化個体(WF0)ペアを八王子の昆虫ショップKPW様より入手。サイズはオス37mm、メス22mmでした。今回オスメス共に爪掛かりが良く、良好な鮮度で入荷していました。


ホソアカ特集号で図示されている通り、顎はやや丸みを帯びています。購入後すぐに既にメスの後食を確認、1週間ほど遅れてオスも活動開始しました。
産卵セット
数日同居させ、その際にメイトガードも確認できました。
Nマット一袋に他種ホソアカの使用済みマットを混ぜ込んで加水。コバシャ小ケース容器に下半分を加圧、上は8分までふんわりで詰めました。最後にたっぷりの水苔を敷き詰めて完成です。2週間後に割り出したところ十分な数の卵が得られました。メスのサイズと脚力を考慮し粗いチップは少なめ、詰め圧も大型キクロより弱めに加減しています。
2025.5.22
初令幼虫の孵化を確認。孵化まで早いですね。小型種は放置していると一気に加齢してしまうので、早めにメンテが肝心かと思います。その後も数回に分けて割り出し作業を行いました。予想以上に沢山産んでおり孵化率も良く、合計で60頭以上の幼虫が得られました。
幼虫飼育
生オガ発酵マット単体を詰めた800ccボトルに各1頭で36、ホダ・生オガ混合でブレンドした1400ccには各4頭まとめて多頭管理しました。
2025.10.28
前蛹〜蛹化を確認。温度は19-20℃で管理していたのですが、小型種という事もあってか羽化まで早いので驚きました。
四川省雅安の年間気温ですが、12月〜3月は平均気温が10℃を切るようです。夏は暑くなるあたりも日本の気候に近いイメージで、野生下ではある程度の低温高温耐性があるものと予想されます。
成虫羽化
メスは約25頭ほどが羽化。サイズは21〜23mm。個体により前胸部の黒色部分が多少変化しますが、オスと違い形態的な個体差はあまり無いと思います。



メスの羽化とほぼ同時でオスの早期羽化が出てきます。一部幼虫期間の長いオスがいると言ったところで、全体的に大きく羽化ズレすることは無いようですね。
●2025年11月5日 41mm
一頭目は800cc1本返しから羽化。左の内歯数が1本多い個体。

●2025年11月20日 42mm
今回の申請個体です。こちらの個体は1400cc多頭飼育の一頭目。顎がストレートに伸び、シルエット的に良くサイズが稼げている個体だと思います。

●2025年11月下 41mm
生オガ800cc1本返し。基歯は二歯状で全体的に太めで顎は伸びきれていない。

●No.4 2025年12月上 39mm
1400cc多頭管理。基歯が前を向いており、前胸中央の黒帯が大きめの個体です。

●No.5 2025年12月上 39mm
800cc1本返し。こちらも基歯が二歯状ですね。

●No.7 2025年12月下 41mm
800cc1本返し。

※この後42mmを超えるサイズは現れなかったため掲載画像は省略!オスは合計20頭以上が羽化していました。ボトル単頭飼育・多頭飼育どちらも少し数が減っていましたが、概ね生存率は良好でした。
まとめ
無事レコード初登録。市販の一般的な発酵マットが合っているようで、ホソアカの中でも比較的簡単に大型を狙いやすいグループだと思います。大陸のツヤホソアカは野外最大値<飼育最大値が多い傾向も納得ではあります。
今回は1400cc容器での多頭飼育でレコードを登録しています。個別飼育も試しましたが、集団で環境をコントロールするのが得意なタイプの虫な気がします。水分量は大型のホソアカクワガタと比較して少なめを好むようで、これは大陸と東南アジア島嶼部の降水量の違いが関係していそうです。
成虫管理ですが、羽化→ハッチのスピードが爆速で1週間でも見逃すと餓死します。数日に1度は蓋を開けて確認する必要はあるでしょう。餌切れNGで長期間ベチャベチャな環境で放置すると弱りやすいとも思います。まとめるとホソアカ特有の繊細さを誇張した感じです。
成虫オスの個体差について。基歯先端の形状や方向、前胸黒帯の範囲、顎の丸み、小内歯数など各パーツの形態には明らかな個体差が見られます。飼育者としては悩ましいですが、このグループは図鑑で特徴として図示されるものとは異なる形態も出てきてしまうのかなと思います。
安定して飼育は続いているので、今後も更新を狙って引き続き頑張ります。
最後までご覧いただきありがとうございました。

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