7/12-7-17の期間にマレーシアにて昆虫採集に行ってきました。まさかの今年2回目、3ヶ月間隔での再訪です。前回はソロ採でしたが今回は『花と角』の丸山さんを連れて2人で楽しみたいと思います!お恥ずかしながらクワガタ要素ほぼゼロです笑。
1日目(13日)
7月12日の23時に出発し、13日の朝6時、クアラルンプール国際空港に到着。
入国手続きや預け荷物の受け取りを終え、電車でバスターミナル駅まで移動します。KLIA2→BTSまで。待ち時間も含めて1時間も掛からず到着できます。駅直結の大型バスターミナルTBSまで移動し、予約した10時発のバスまでゆっくり暇つぶし。朝食に国民食ナシレマを注文するも、予想を超える激辛で食べ切るのが大変でした。。

ちなみにバスターミナル内の換金所(Jags money)は自分の知る中ではレートが良く、今回も利用させていただきました。国内外問わず空港レートは基本的に割高で相当損してしまいます。首都のクアラルンプール周辺はキャッシュレス化進んでいるのですが、地方はまだまだ現金社会の印象があります。思わぬアクシデントに備えて多めに持っておくのが無難です。
両替やチケット発行などを済まして、あっという間に2時間が経過しました。キャメロン行きのバスに乗ります。ちなみにイポーを過ぎてからはずっとクネクネ道を進むので相当車酔いします。ゲロ解放ゲージ7割で無事にバス停のTerminal Freesiaに到着!ようやっとキャメロンハイランドです。ここまでの移動が長く疲労感はありますが、ホテルに荷物を置いて直ちに採集ポイントへと直行!
まずはキャメロンハイランド中心地に程近い登山道へ。丸山さんは入り口で早速カメムシを採集していました。ほぼ直線コースで山道の傾斜は強く、私は中腹でコケてネットのスプリング枠をバキッとやってしまいました。(後で応急処置をして普通に使える状態にはできましたが)息を切らしながら30分ほど歩き、山頂まで辿り着きました。ここでは繁茂するシダ植物の葉っぱの上に色々な甲虫が付いています。
おそらくシダが2種類あるようなのですが、アリが集まって蜜を吸っていると思われる方にはめぼしい甲虫が集まっていました。高山の甲虫は特徴的な形状なものが多く楽しみがあります。何種類かのゾウムシに混ざってカミキリムシが得られました。Ectatosia moorei ??

虫の密度は低いもののそれなりに成果は上がり、一旦下山して宿のチェックインを済ませます。流石にお腹が減ったので近場で夕食を取ることに。中心街の商店の並びはたくさんの観光客で賑わっています。適当に入った店で炒飯のようなものをかき込みました。
さて宿に戻って荷物を整え、夜のジャングルトレッキングへ出撃。山道を進んでいくと早速ゴミムシダマシの一種を発見!昼間には一頭も見つけることができなかったので、夜行性であると思います。上翅の突起はアフリカの砂漠に生息するキリアツメの一種に似ています。


時間をかけて山頂まで登りきり、引き返す際も入念にルッキングをします。
そして深夜0時丁度、今回の旅で狙いであったゴミムシダマシ、(Mechanetes cornutus)を発見!立ち枯れの根本にくっついていました。かなり入念に探し回ったつもりでしたが、採集できた個体はこの一頭のみ。今回入った山では生息範囲は結構限られている印象で、湿度の高い雲霧林の立ち枯れにいる感じが見受けられました。全体的に昼のルッキングでは見れない虫が得られたので満足感は高かったです。
TG-7(丸山さん撮影)

iPhone 11 (私撮影)
意を決してのジャングル入り、十分の成果があり良かったです。ここからは街灯巡りにシフトします。しかしメインの街灯沿いは全部LED化されており、オレンジ灯も日本とは微妙に違うのか虫が殆ど寄っていません。なんと言っても車無しというのもあり、移動範囲も限られています。丸山さんは街灯採集が上手で複数種のカミキリなどを採集していました。
初日から何箇所も連れ回してしまい、宿に帰還して時計を見ると2時を回ってしまいました。相当疲れが溜まっていますが、先にシャワーに入っていた丸山さんが震えながら冷水しか出ないと訴えてきます。幸い大きめの湯沸かし器があったので、私の方は冷水とお湯を交互に浴びて入浴しました。キャメロンは年中気温が低く、丸山さんが風邪をひかないか心配になります。そしてベッドはなんとも言えない湿り具合で苦笑いするしかありませんでした。
2日目(14日)
朝起きて朝食のバイキングを済ませると、予定していた19マイルまでタクシーで行きます。タクシーの運転手さんには到着後は解散し、2時に迎えにきてくれるよう説明しました。バックレされたら詰むので代金は半分ずつで交渉をかけたのですが、話が通じないフリされて普通に失敗。こんなところで置いてけぼりされたらと思うと結構心配になります。
一時間ほどタクシーに乗り19マイルに到着。ここでは先住民オランアスリが生活の傍で昆虫採集をしており、5月に村の入り口を訪れた際には何種類もクワガタを持って集まってくれました。今回もかなり期待していたのですが、最盛期を外れていたためか売るものが全然無いようです。ここではカミキリの一種を購入。
ジャングルに入って良いと許可をもらえたので、川沿いをつたって奥まで進んでいきます。
小型甲虫をメインに昆虫の個体数の多さに驚きます。川沿いで湿度が高く、適度に人の手が入っているのが良いのかもしれませんね。道沿いの葉っぱの上に止まっているのを見つけては遠沈管に入れていきます。

シャボン玉のような艶やかな色合いのヨロイバエ。日当たりの良い斜面の葉っぱの上にて発見しました。うっすら見れたら良いなと思っていたので夢のようです。結構小さくて素早いので急ぎ網を振り採集。丸山さんと追加を血眼で探しましたがこれ一頭のみでした。
ブログ書くにあたって振り返ると、取り逃す怖さで全く生態写真が撮れていませんでした。基本どの虫も初見&一期一会な訳で、悠長に撮影する余裕などありませんでした。昼間に見れる虫は基本どの虫も飛翔性が高くて、採集と撮影の両立は中々難しいところです。
ゾウムシの一種、Cercidocerus属でしょうか。触覚が車のワイパーのようだと表現されます。よく見るとゼンマイ仕掛けのようにも見えます。



目線の高さほどの葉っぱの上にてヒゲブトオサムシの一種を発見!
ヒゲブトオサムシの一種。目線ほどの高さのデカい葉っぱの上にとまっているところを運良く発見しました。完全にラッキーです。

アカエリトリバネアゲハ、キシタアゲハが時より川沿いを舞います。大型蝶は見るたびに感動してしまいますが、ワシントン条約での保護種のため採集はできません。
帰り道を進むと村人の1人がモセリオウゴンオニを持ってきてくれました。

村の入り口で待っていると時間通りにタクシーが来てくれました。お金は支払い済みで普通に考えて運転手さんが戻ってくるメリット1ミリも無いですからね。バックレも全然あり得ると思っていたので結構ホッとしました。タクシー乗り込んですぐに大粒の雨が降り始め、キャメロンの宿に着く頃には土砂降りです。これまでの経験的にスコールはすぐに降り止むものと思っていましたが、降っては止みを繰り返す状況。
ついに雨は止まないまま夜間になってしまいました。雨足が若干弱まったと思い出発するも、街灯採集どころではない状況でした。意を決して昨日と同じ登山道へ向けて歩きます。
濡れて滑りやすくなっている登山道を登り始めてすぐ、丸山さんがマンマルコガネを発見しました!私も狙っていた虫だったので目がパキパキになります。昨日に続けて入念に虫を探し、昨日見つけて大喜びした例のゴミムシダマシ(Mechanetes cornutus)は丸山さんと私で1頭ずつ発見しました。何となくコツは掴めたと思います。
マレーシア・パハン州の✨カエル✨。丸山さんは嬉しそうです。

帰り道にてゴキブリ発見。私はゴキはやらないので丸山さんにお任せ。この日で2頭発見しました!

また進んだところで、つる植物に群がるナナフシを発見。丸山さん調べによるとサカダチコノハナナフシの幼虫らしいです。
ミツギリゾウムシ!またしても葉上で発見。この種は好蟻性ではなさそうですね。いつかは好蟻性のミツギリも採集してみたいです。



そしてギリギリのところでマンマルコガネはようやく一頭を発見。やはりこの個体も葉っぱの上に付いていました。採集中に自分だけ採れないのって焦りますよね、喜びもそうですが、安堵でいっぱいに。
全体的に昨日とはかなり違った虫が見られたことに驚きました。2日目で目が慣れたのもあるかもしれませんが、雨で一部の虫の活性が上がる可能性はありそうだと思っています。ちなみに日本の先島諸島に生息するマンマルコガネは、口器や消化内容物の観察から水分補給しかできない可能性が示されています。雨の日は水分補給を目的に地上に上がってくるのかもしれませんね。
なんとか成果を上げつつ無事に山からは脱出できたのですが、最後の最後で林道出口の水たまりにダイブしてしまい、乾きかけた靴がドロドロに逆戻り。靴ズブズブ、全身グッショリな状態で何とかホテルに到着。
部屋に戻り丸山さんが水道を捻ったところ、何故か今日はお湯が出ました。雨で身体が冷え切っていたところ本当にラッキーでした!
ちなみに丸山さん、宿で虫いじり中にマンマルコガネが出す「音」を見つけていました。
3日目(15日)
そろそろ日本に帰りたくなってくる頃ですね。今日は移動日で、今いるキャメロンハイランドからゲンティンハイランドまでバスを使って行きます。朝起きて朝食を食べてからTanah Rataのバス停へ。始発のバスに乗りTBSに戻ります。安全上決して良く無いですが二人して大爆睡でした。昼頃にはバスターミナルまで戻り、TBS内のフードコートで昼食を食べます。さらにバスに乗り換えて約1時間、今回我々が初めて訪れるゲンティンハイランドに到着!
短期の旅行で移動に半日潰れるのは勿体無いですが、今後のことも考えると新規ポイントの偵察も欠かせません。チェックインを済ませて直ぐに近場の林道へ。ここは明らかに歩道が狭く、夜間に採集できそうな場所を下見していきます。
樹上のシロアリ塚を発見。少し掘って探してみるもシロアリ以外は出てきませんでした。思っていたより堅牢です。
ショッピングモールで夕食を済ませ、ロープウェイに乗ります。一気に高標高の地点まで上がっていきます。ちなみにロープウェイの最終時間は23時、1時間強の限られた時間で探索します。最上のショッピングモールの建物の周りをと思っていましたが、そもそもショッピングモールは外に出れる場所が全然無く、唯一見つけたバス乗り場から出たところは大型車の車通りがとても多く危険と判断。街灯も全てLEDで虫は殆ど見られずと散々な結果に。それでも一箇所蛍光灯が多い場所では何種類か甲虫が得られました。丸山さんはかっこいい形のコメツキムシを採集、クロツヤムシは欠けていたのでリリースしていました。
ちなみに昼間下見をした林道も行ってみましたが、これといっためぼしい種類が見られず環境的にちょっと微妙な感じです。丸山さんはまたカエルを見つけて嬉しそうでした。

4日目(16日)
10時にはホテルをチェックアウトし、寝る前にGoogleマップで目をつけた低地の林道へ出撃。ただ入り口と思われる場所をくまなく探したのですがいっこうに見つからず、次に急斜面を登りますが、崩落していて行き止まり。私は転んで棘の多い植物に当たってしまい流血、丸山さんは急斜面を滑り台のようにずっこけて落ちて散々です。既に数日間の強行軍で疲れているのでしょう、それでも諦めず他の道をGoogleマップで調べて行ったのですが、林道のゲートは警官らしき人物に見張られていて、私有地で立ち入りを制限する大げさな看板もあり入れない雰囲気のため諦め。
昼のルッキングはまさかの戦果無しの帰還です。丸山さんは蝶を複数種得ていたので良かったのですが。ちょっとリサーチ不足感がありましたが、初回の場所は下見要素がどうしても強くなってしまいますし、土地勘の一切無い海外では上手くいかず当たり前ですね。キャメロンと比べると情報が少なく時間も限られている中ですが、次はもう少し上手くやれたらと思います。しょんぼりしながら荷物を預けていたホテルに戻り、泥だらけの靴とズボンを拭いました。バスターミナルのショッピングモールで急いでハンバーガーを食べてKLセントラル行きのバスに乗車。
完全にぐったりした状態でクアラルンプールに戻ってきました。KLセントラル駅直結のホテルで立地は最高です。少々値が張りましたが、最後の一泊なのでケチらず予約して大正解。部屋でひと休みして近郊のペットショップに向けて出発。電車で最寄りまで行こうと思ったのですが、チケットの受付では行き先を伝えてもチャイナタウンはココではないと何度も言われてタジタジでした。
閉店まで時間も無いので駅を出てタクシーを探すも、1人目は場所が分からないという謎理由で断れてしまいました。急いでタクシーアプリをインストールするも私はカードが使用不可、丸山さんはメールが届かず手続き頓挫。ようやく少し待って新しいタクシーの運転手に行き先を説明し、19時過ぎに到着。ここは爬虫類専門ショップですが、マレーシア産を中心にクワカブコーナーもあります。ボルネオの虫も複数いるなどラインナップは本格的。とはいえ生きて持って帰ることは無いので結局生体は何も買わず、友人に渡したい爬虫類用品系を買って店を出ました。
書籍コーナーではまさかのBE-KUWA。マレーシアで取り扱いがあることに驚きました。

閉店ギリギリで店を後に。ホテルまで帰ろうとタクシーを探すものの、観光地ではない立地なため全然見つからず、仕方なく2km先の最寄り駅まで移動。もの欲しげに近寄ってくる野犬には毎回ビビり散らかしてしまします。電車を乗り継いで22時過ぎにようやくホテルまで帰還。インド料理屋で夕食をとり爆睡しました。
4日目(17日)
朝起きて駅直線のショッピングモールにてお土産購入タイム。今回の旅行で初めて観光っぽいことをやりました。スパイスの粉末からお菓子まで爆買い!丸山さんは日本未上陸のスニーカーを手にして嬉しそうでした。時間をみると飛行機の時間が迫っていたので、急ぎKL Express に乗車しクアラルンプール国際空港まで戻りました。
チケットのQRコードが反応しないなどのアクシデントもあり、割とギリギリでゲートに到着しました。朝食も昼食も食べれずでしたが、無事に飛行機に乗り込めて安心しました。ホッとした衝動でお土産で買ったチョコを早速消費。

飛行機は時間通りに出発し、約7時間のフライトで22時に羽田空港に到着。疲れに疲れているはずですが、やはり座り心地が悪くあまり深くは眠れませんでした。色々ありましたが無事に帰って来れて何よりですね。丸山さんには相当負荷をかけて色々連れ回してしまったと思います。
最後までご覧いただきありがとうございました。
