スペキオススホソアカクワガタ
Cyclommatus speciosus
ソロモン諸島 ベララベラ島
前回の飼育記事では産卵セットの作成まで書いていきました。今回は割り出し〜幼虫飼育、羽化まで一気に書いていこうと思います。
セット期間2ヶ月でこまめに割り出し作業をし、2023年10月中旬〜11月下旬にかけて産卵セット3つから合計100匹以上の幼虫を確保。16匹のみVIP飼育で1300ccボトルへ、残り80匹以上は800cc半透明ボトルに投入しました。今回もなるべく初令初期投入を心がけました。
幼虫飼育
マットはホソアカに向いている粗めホダチップに一般的な微粒子マットを混ぜたものを使用。水分量は多めに設定し、三階松プレス機を使用し固詰めを心がけました。温度は前回よりやや低い20-21℃で管理したところ、2024年5月にはほとんどのメスが羽化、6月初旬〜オスの羽化が始まりました。本種の幼虫期間としてはかなり引っ張れたと思います。ホソアカで20度は特段低い管理温度ではないのですが、本種に限ってはかなり温度の高い地帯に生息するホソアカ。これ以上低温で管理すると餌を食べることができるか心配なくらいギリギリを攻めている印象です。
蛹化〜羽化
最初に羽化したオスは57、次が58mm。基本的に小さいオスから順に羽化すると思うので、スタートとしては悪くない数値かと思われます。ちなみに初令投入にはやや厳しい環境だったのか、2割ほどボトル内で早い段階で溶けちゃってました。今回の飼育目標は60mm UPですので、育て方の方針を少し変えた後続のVIP勢に期待大です。
VIP管理組
1300ccボトルにて管理した個体です。通常飼育組よりも詰め圧強め、高水分の飼育で1ヶ月ほど幼虫期間も長めに引っ張りました。そちらの結果はというと…
53mm。アレレ、ちっさ…という感じですよね。幼虫観察時には薄々気づいていましたが、詰め圧がカチコチすぎて幼虫が食い進めていませんでした。同じキクロマトス属とはいえ、食い進み力には種類ごとに差があります。これはポジティブに捉えれば勉強になりました。今後の飼育では微妙な調整が鍵になってくると思いました。かなり幼虫体重が乗った個体もいるので後続に期待したいですが、アベレージとしては失敗の部類に入ると思います。そして1300ccボトルが大きすぎるためでしょう、側面に蛹室作らないので、いつ掘り出していいか分からんという問題もあります。やはり800ccで数抱えつつ攻めた飼育がベストでしょうかね。
2024/10/11
VIP管理ボトルの後半羽化個体。アベレージは激ショボでしたが、数頭なんとか順応してくれた個体が!60mmには届きませんでしたが、それなりに大きく育ってくれました。しかしガチ詰めに耐えられず2割ほど落ちてます。。
2024/10/24
自己記録は更新!!!
いや実は先述の個体がラストだと思っていたのですが、ちゃんと見たらまだ蛹がいました。
蛹の時点で頭部の電源プラグのような凹みが明らかに深く、(これってホソアカクワガタでは大型の確定演出ですよね)目視でもこれはデカいかも!と思って期待していました。現時点では60UPとれますが、これは縮んで大台に乗らない可能性も高そうです。何がともあれ自分の中で過去最大出せたことはよかったです。
今回のVIP飼育、攻めすぎて失敗かなと思っていましたが、一部頑張ってついてきてくれた個体が良い結果を残してくれました。それにしてもこの顎の形、、カウピホソアカ並みに顎太くて伸びきれてないですよね。前から思っていましたがレコード狙いには向かない産地なんだろうなって印象です。
羽化後の管理
特にメスに関しては羽化後〜活動開始までの期間が他のホソアカよりも早い印象があります。メスだけが爆速で羽化して活動開始して短命で死亡、そしてペアリング中の事故。これが本種の累代失敗一番の課題だと思います。適切な管理を施し、メスの寿命を長く維持することがベストな対策であると私は考えています。
産卵セット
後食済みオスとメスを800ccボトルで1晩同居。メイトガードを確認できていれば基本大丈夫なはずなので、作った産卵セットに入れてあげます。材があると尚いいとは思いますが、手間の都合で今回は栄養フレーク。下5割は気持ち硬めに詰め、上はふんわり詰め。水苔ゼリーを配置してセットは完成です。今回は全部で5セット組みました。今年は目指せ200匹!
累代障害
今回は全体の1割未満ですが、オスメス共に羽パカが出てしまいました。今年は餌も管理温度も攻めすぎたのもあるかもしれませんが、入手した初期には不全で困るようなことはなかったので今後が心配ではあります。データ取っていないのでなんとも言えないですが、メスも体型が太くなってきたような。同産地は次いつ入るか微妙ですが、野外品もしくは信頼できるWFラベルがあったら絶対に買いたいところですね。
基本的にホソアカって羽化力強めで、特に累代浅ければ不全や蛹で落ちたりはまずしないと思うので気がかりなんですよね。そういえばニューギニア島のオオズ数種類は昔ブリード品も出回っていたようですが、結局今は絶えちゃっていますよね…。長く続けるには根気もそうですが、繋げる技術も大事なんだろうなって。
最後までご覧いただきありがとうございました。レコードや累代云々の話はしてしまいましたが、キクロではダントツのお気に入り種ですし、もちろん今後も累代は続けていきます。(低温耐性つけてモリモリ大型化してくれ)