2025年5月4日〜5月7日の期間にマレーシアのキャメロンハイランドに行ってきました。2年前に訪れた際は乾季で大型甲虫には乏しく、コロナウイルスの余波を感じていましたが、今回はクワガタを中心に以前より多くの昆虫を見ることができました。
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前日深夜発の飛行機に乗り、朝6時半にクアラルンプール国際空港に到着。飛行機から見えた赤い朝焼けが綺麗です。

入国審査と預け荷物受け取りを1時間ほどで済ませ、空港とクアラルンプール中心部を結ぶ路線 (KLIA Transit) に乗車。BTS (Bandar Tasil Selantan) 駅で下車し、駅直結の大型バスターミナルTBS(Terminal Bersepadu Selantan)から今回の目的地:キャメロンハイランドに向かいます。ここは首都クアラルンプールとマレーシア全土を繋ぐ心臓部のような所で、ターミナルとしての規模感もかなりのものです。

ちなみに今回TBS内の建物で両替所を見つけたのですが、ここはレートが非常に良心的。キャメロンハイランドではクレジットカードが通用しないことも想定し多めに換金しました。
複数の路線で多少遅れがあるようですが、事前予約していたバスは時間通りの10時に出発!座席はフカフカで広く、日本の夜行バスより安くお得感満載です。隣のマレーシア人の大学生の方と話していたので、道中全く退屈はしませんでした。14時過ぎに目的地のキャメロンハイランド (Tanah Rata) に到着!
ホテルのチェックイン開始まで1時間あったので、先にタクシーを見つけて虫捕りの村で有名な19マイルまで直行することに。ちなみにタクシー乗り場で2年前に頼んだドライバーを探したのですが、残念ながら持病で亡くなってしまったとのことでした。当時は彼の自宅に飛んできたエドワードサンを持ってきてくれるなど、親身に接してくれていたのでとても残念でした。
やむなく他のドライバーにお願いしたのですが、GW繁忙期ということもあって前回より少し料金が高いです。道沿いには原住民のオランアスリが営む露店がまばらにあります。はちみつ、タケノコ、緑の豆に加えて、謎の木の根っこが売っています。香木か何かと気になったので運転手に聞いてみたところ、茹でて飲むタイプの精力剤だったようです。車内は気まずい雰囲気に。
この日は休日でところどころ渋滞がありましたが1時間ほどで到着!村の入り口には大抵数人のオランアスリの方々が立ち話をしています。彼らに虫の写真を見せると早速村人のひとりがギラファノコギリをお菓子の箱から取り出しました。マレー産は見かけないので即買いです!
前向きに買う姿勢を見せると、他の村人も追加で色々持ってきてくれます。他にもモセリオウゴンオニ、マレーヒラタ、その他ハナムグリ複数種やウスバカミキリの一種を購入。前回は小型の甲虫のみであったので、やはりシーズンは大事なのかなと思います。別れ際には明日にも訪れることをしっかりと伝え、追加で色々採ってきてもらう事に期待!



写真はホテルにチェックインして撮影しました。長距離移動の疲れが出てしまったので一旦ホテルで休憩し、陽が落ちてきた夜7時に街灯見回りに出撃!
ただ狙い目の場所と思っていた場所は警備員が常駐しており追い返されてしまいました。それから夜9時になっても、道沿いのオレンジ灯にはクワガタどころか甲虫がほとんど何も来ていない状態。残念ですが成果に乏しいのと疲労の限界が来てしまい、大人しく帰って寝ることにしました。歩行中に何度か野犬に遭遇しましたが、知人に教えていただいた通り強力なライトを当てれば大抵逃げてくれました。
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目が覚めると朝7時。朝から街灯見回りの予定だったので大失態です。空は完全に明るくなっていて、流石に遅いよなと思いつつ昨日とは別の道を進みます。やはり街灯下は何もおらず、早々にルッキングに切り替えて農業用の未舗装林道を進みます。
伐採された木の切り株で動く黄色い甲虫が!
一瞬でフェモラリスツヤクワガタだと分かりました。近寄ると気配を察して根元に逃げていきます。

急いで携帯で一枚だけ写真を撮り、素早く手でキャッチ!夢のような瞬間です。サイズの小さい小歯ですが「現地まで足を運んで自分で手にした」これだけで自分にとっては思い出に残る価値ある一頭です。

恐らく今回の個体は切り株から出たかすかな樹液の匂いに誘われて来たのではないかと思います。林内ではツヤクワガタの黄色は相当目立ちますね。鳥などに襲われるリスクも高そうで、動物の気配への警戒心が強いように見えました。
朝9時にホテル前にて手配していたタクシーに乗り、約束の19マイルまで移動。昨日と同じくモセリオウゴンオニに加えて、カネギエーテルノコギリ、コツヤクワガタ、美麗なツノカメムシを購入できました。長歯のコーカサスオオカブトも持ってきてくれましたが、わずかな自己採集の可能性に賭けてパスする事に。カナリクラトゥスホソアカ原名亜種もみれて良かったですが、サイズが小さかったのもありこちらも購入には至りませんでした〜。
午後は改めて山登りです。タナラタ中心部から1時間ほどで行ける場所に登ってみましたが、酸素が薄く勾配が急なため、すぐに息が上がってしまいました。最近運動不足だったので、ここで鍛え直さないとダメですね。吹き上げの開けた場所で待機していると甲虫類は上がってきます。ここでは漆黒のコガネムシ(飛んでいる時は青に見えました)、ゾウムシが得られました!

今回の旅の直前でオリンパスのコンデジ「TG-7」を入手しており、今回初めての実戦投入です。屋外で天候などを気にせず使えて満足なクオリティで撮影できるというのは有り難い存在!先程19マイルで入手したモセリを撮影!

下山したところでツル植物に付いているジンガサハムシを採集!
葉っぱに丸い食跡を残していて綺麗で可愛いです。同じ場所に黄色のカメノコハムシの一種も見られました。

今日の登山中に強力な懐中電灯を紛失してしまいました。応急で安めの懐中電灯を入手したのですが、明らかにパワー不足です。安全面を考慮して夜間のルッキングは断念!海外旅行はトラブルにあった時にハイリスクですし、今回1人なので神経も使います。。

マレーシア・パハン州の✨ドラ⚪︎もん✨
ショッピングモールのゲーセンにて。
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今日は19マイルには行かず、キャメロンハイランド周辺でゆっくり採集を楽しむことに。
ホテルで朝食をとり、前々から狙っていた登山道を制覇すべく移動します。途中街灯下にてヨコズナアオカナブンを採集!縁は青っぽい部分があって綺麗!

1時間ほどかけて登山道の入り口まで徒歩で移動しました。畑沿いの道を進んでいくと、農業用の小さなため池にて数種類のトンボを発見。キャメロン周辺の河川はコンクリ護岸が多かったですが、ここは適度に人の手が入っており水草も豊富で理想的な環境。後でトンボに詳しい方に学名を教えていただきました。

水辺はじっとしていると蚊やハエに取り囲まれてしまうので、追い立てられるように急いで前進しました。正式に登山道になっているはずなのですが、予想を超える悪路でしばしば道も途切れ途切れ。植物も生え放題で、普段からあまり人は入っていないルートだと思います。電波はしっかりと通るので道を確認しつつ進めたのですが、山頂に到着する頃にはとても疲れてしまいました。

山道沿いの倒木の上で力尽きていたクワガタのメス。ではなくクロツヤムシの頭部ですね。だいぶ後で気がつきましたがお恥ずかしい限り。
今日はかなりの長距離登山で、朝に出発したものの街に戻れたのは午後3時頃でした。明日は帰国の日で朝早いので、ホテルの中でゆっくり食事をとって休みました。
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いよいよ最終日。私自身の至らない部分から不完全燃焼ですが、時間に遅れると大変なので早朝の街灯見回りはしませんでした。朝6時にホテル前で手配したタクシーに乗り、Ipoh駅まで移動。予約した特急列車に乗り、10時半にはKLセントラル駅まで戻ることができました。
クアラルンプールまで戻ると蒸し暑いですね!駅のショッピングモールにて着替えを購入。そして先日バスで勧められていた国民食ナシレマを注文!急いでいてゆっくり味わえなかったのですが、ココナッツ味のご飯が美味しいです。

12時半にクアラルンプール国際空港に到着!フライトまで2時間ほどありましたが、海外の空港は手続きが煩雑で、ゲートに到着できたのは結構ギリギリでした。
飛行機は時間通り出発し、夜の22時に羽田空港に到着!日本に戻ってまいりました。とにかく何事も無く無事に帰国できた事が一番ですね。たくさんの虫に出会えたことも大変嬉しかったです。
〜終わりに〜
久々の長尺ブログでした。前回より多くのクワガタに出会うことができましたが、念願のフェモラリス長歯は次回にお預けとなりました。機会があればまた訪れてみたいと思います!
また話は変わりますが、近年はsns上での海外採集報告も頻繁に見られ、おそらく一般的にチャレンジしやすい雰囲気が醸成されているように思います。そのような中で改めて海外採集について思うのが、どれだけ配慮したとしても安全とは言えず、それ自体は安易に勧められないという事です。
マレーシアは比較的治安が良い方ではありますが、それでも国内とは違った配慮が必要になり、トラブル対応も言語の壁が立ちはだかるかと思います。もし計画されている方は、無理のない旅程で安全に気をつけてください。最後までご覧いただきありがとうございました。
