こんばんは!セルヴォランです。今回は3/20から3/24にかけてのマレーシア・キャメロンハイランド昆虫採集についてお話します。またラストで海外採集において少し役に立ちそうな話を書いていますので、マレーシアへ行こうと考えている方は必ず最後までお読みください〜
キャメロンハイランド-への道-3/20
3/20、羽田空港からクアラルンプール国際空港へ到着しました。バスを乗り継いでキャメロンハイランドを目指します!
●KLIA2(クアラルンプール国際空港)到着
↓空港のバス停からTBS行きのバス(JETBUS)に乗る
●TBS (Terminal Bersepadu Selantan)到着
↓キャメロンハイランド行きの高速バス(CS travel又はUnititi express)に乗る
●Terminal Freesia(キャメロンハイランドのバス停)到着
TBS(クアラルンプールの巨大なバスターミナル)からキャメロンハイランドまではひとり40リンギット。待ち時間がかかるのが欠点ですが、バスは安価な移動手段です♪ おそらくタクシーではこれの8倍以上はかかるのではないでしょうか?バス停にはチケット売り場がありますので、オンライン予約なしでも購入できます。(売り切れのリスクはありますが)
途中TBS建物内の薬局で除光液を購入し、キャメロンハイランド行きのバスに乗り込みます。思っていたより席も広く乗り心地は非常にいいですよ!キラキラな超高層ビル、どこまでも続くパームプランテーション、スラム街などこの国の色々な景色を観察しながら4時間ほどでキャメロンハイランドの中心地タナラタに到着〜
ホテルまで15分ほど歩いたんですが、とにかく交通量が多いので道沿いはめちゃくちゃ排気ガス臭いですし、車は歩行者のために止まったりしないので道を渡るときはけっこうヒヤヒヤします。実際マレーシアって交通事故は多いようですね…
さて陽が沈んだ8時、ホテル近辺の街灯見回りを開始。ここは高標高地ですので、夜はジャケット必須ですね!カミキリムシ、コガネムシなど発見しますが、クワガタは見つかりませんね〜。なんと探索中に野犬が群れで追いかけてきたのでそそくさホテルへ退散しました。私を襲うつもりだったのか、餌が欲しかったのかはわかりませんが、万が一噛まれでもしたら大変。この時は網で脅して撃退しましたけども緊張しました。
19マイルの旅-3/21
3/21、翌朝8:30からキャメロンハイランド周辺の観光ツアーに参加。まずはランドローバーに乗り色んなところへ連れて行ってくれるようです!ガイドさんにシートベルトは?と訪ねると古いスタイルの車だからシートベルトは無いとのこと!昨日から文化の違いに驚くことばかりです笑笑。車はブリンチャンを抜け茶畑の山々へ。冷涼なキャメロンハイランドは紅茶の一大産地です。一面茶畑になっている残酷な光景には圧倒されました。キャメロンハイランドの環境破壊の象徴ですね…かつてはどこまでも熱帯雨林が広がっていたのでしょう。
そして昨日怖い思いをした野犬について尋ねてみると、噛まれて病気に感染するとは思わない、でも観光客が餌をやるから犬が増えた。“No foods No dog ”だと嘆いていました。
車は茶畑を超えてぐんぐん山道を登っていきます。しばらくすると標高2000メートルのモーシーフォレストへ到着!日本語に直訳すると苔で覆われた森という意味です。この場所は高標高の中の盆地であり、通年高い湿度を維持できるためこのような環境を何千年も維持できていると教えてくれました。マレーシアでは特殊なバイオームだそうですね。名前の通り苔や食虫植物などの着生植物が豊富に自生しています。
帰り際、開けた日当たりの良い場所で蝶を発見!調べてみるとこの種はカザリシロチョウというんですね〜。ここは保護区ですので、おそらく網を振ったりはできないかと思います。帰り道のTEAセンターにてトイレ休憩をしたのですが、なんと男子トイレの小便器が壊れて水浸し!あたりに嫌な匂いが充満しています。マレーシアの共用トイレは基本どこも汚いですし壊れていることも多々あると思います。トイレットペーパーもあるとは限らないのでティッシュは多めに持ち歩く必要があるでしょう。
タナラタのバス乗り場まで送ってもらいガイドさんと解散。ここからが今日の本題、19マイルへ向かいます!!この“19マイル”という地名ですが、昆虫採集を副業にしている先住民の村のことです。ちなみにこの呼び名は昆虫マニア向け書籍でよく使われる用語でして、私はタクシー乗り場で“19mile orangasuri village ”と説明したら理解してくれました。しかし現地人に通じない可能性もあるため注意してくださいね!※現在はマイルからメートルに単位が切り替わったため19マイルの看板は残っていないようです。
タクシーの運転手さんと話をしていると、数年前にいちど日本人のコレクターを送り迎えしたことがあるそうです。ちょうどコロナ禍の前でしょうか。ジャングルの中のグネグネ道を左右に揺さぶられながら50分、19マイルに到着しました。道沿いには虫を売る人はいませんが、心強い運転手さんの案内で、集落の中へ入って行きます。
野良犬やニワトリがウロウロする中、家々を回って昆虫はいるか?と声をかけてくれたのですが、村人は見知らぬ来訪者に警戒している様子。これは後で聞いた話ですが、コロナ禍の影響で虫を買いに来る日本人がめっきり減ってしまい、近頃は観光客用に虫取りをあまりしなくなってしまったようです。
少し待つと家の奥から三角紙に入った蝶を持って出てきてくれました。他の方の書いたブログで読んだ通り、スレている個体が大半でしたね〜。クロツヤムシや各種クワガタを見せてくれましたが、今回は大型のクワガタは個体はいないようです。しかし今回見てみたかったコツヤクワガタを2匹購入できたので大満足です!!
ひととおり欲しい虫を全て購入し、タクシーに乗って来た道を帰ります。道沿いでは木と藁で作られた簡素な屋台で、オランアスリの人々が山で採集した様々な物品が販売されています。ハチミツ・ビカクシダ(観葉植物)・巨大な豆の鞘などなど。昔ながらの狩猟採集生活を続けようとしている姿が見てとれます。
ホテルに帰宅し、入手した昆虫を手に取り観察します。
19マイルジャングル探索-3/22
3/22、昨日のタクシ運転手と話をつけておいたので、8:30にホテル前集合です。なんとこの運転手さん、たまたま見つけたエドワードサン(ヨナグニサンに似た超大型の蛾)を捕まえてくれて、このとき手渡ししてくれました。本当にありがたいです!!昨日と同じく19マイル村で降りて虫とりの村人たちはまだ集まってきていないとのことでした。集落の小さい女の子は制服を着て小学校へ行くようです。今はしっかり教育も行き渡っているのですね〜
帰ってくるまで時間があるので、ジャングルの中を1時間50リンギットで案内してくれる。とれた虫は全部自分で持ち帰って良いという条件でした。ようやく網を使う機会ができて非常に嬉しいです!
道案内は少し英語の話せる村の若い青年に任せ、そのまま川沿いの細い小道に進んでいきます。道はところどこぬかるみ、非常に歩きにくいですね…本格的な登山靴を持ってきて良かったです。
川沿いにはトリバネアゲハの仲間が飛翔しています。今回の目的はクワガタですので、森の深くに入って行きます!しばらく歩くと樹液がダラダラ流れる大木を見せてくれました!青年はさっそくクワガタを見つけたようで、ウロの中に木の小枝を突っ込んで採集します。出てきたのはアクミナートゥスネブトクワガタ!他のウロからは超小型のネブトクワガタ(日本のネブトに似ている)をペアで採集してくれました♪その後もいくつか樹液木を案内してくれ、追加でアクミナートゥスをとってくれました。
このような渓流を渡るのですが、流石は森の民、苔の生えた石の上を巧みに渡っていきます。これは流石に厳しいと思いながら私が足をかけると案の定滑って川にドボン。膝までずっぷり浸かってしまいました。こういう経験も楽しいですし、ヒートアップした体が冷めていく感覚は気持ちいいものです。村周辺の樹液木は全て見終わったので、蝶採集に切り替えます。オランアスリの人たちは木とビニールで作った網を器用に使い、見事に蝶をゲットしていきます!私もシジミチョウの仲間などを何匹か採集することができました。
1時間ほどのトレッキングを終えて集落に戻ると、予定通り採集を終えた複数の村人たちが集まっていました。中年の男性が持ってきてくれたコツヤクワガタ、オオツノメンガタカブト、可愛らしいハムシを取引しました。他にもカマキリ、コノハムシなど面白い虫を色々見せてくれました。
取引が終わり村人と話します。彼らの英語は非常に訛りが強くて困りましたが、簡単な英語でまた来年も来るように行ってくれました!昨日来たときは私と村人の間に緊張がありましたが、今日別れの間際には私たちの会話は笑顔に溢れていることに感動しました。
道で待ってくれていたタクシーに乗り込み、昼前には無事ホテルに帰宅しました。ベランダで濡れた登山靴と靴下を脱ぐと、黒い塊がボトっと床に。みなさんお分かりでしょうか?ヒルです!きっと川を渡った時にくっついてきたのでしょう。さらにズボンの内側にもいやーな感覚がするので脱いで確かめてみるともう1匹!2匹のヒルに計3箇所噛まれてしまいました。噛み跡からは血がダラダラ出てきます。何も準備がないので急いで対処法を調べると、血が止まらないのはヒルジンという物質によるもので、慌てず絞るように血を洗い流すとのこと。急ぎシャワーを浴びてみますが、此処のヒルはよほど強力なのでしょうか?シャワーから上がっても全然血が止まりません。できるだけ血を流すことで痒みを抑えられるので、あえて携帯していた絆創膏は貼らずに、血を流し続けました。旅疲れと流血でややげっそりしてしまったので、その日は外出を控えホテルでゆっくりすることに決めました。おかげで熱や痒みには全く発生しなかったです♪
帰路につく-3/23・3/24
早朝ホテルの周辺を見回ると、世界最大のセミ“テイオウゼミ”を発見!!写真を撮ったりしているとこちらの気配を察知されて逃げられました。さらにこのセミ、飛んで行った先で鳥の待ち伏せに遭い、あっけなく捕まってしまいました。4コマ漫画のようなオチに笑ってしまいましたが、今回ばかりは私もセミもついてなかったようですね。
朝早くホテルを出発し、8:30TBS行きのバスに乗りKLセントラル(クアラルンプール中心地の駅)で降りました。
終わりに
さて、マレーシアキャメロンハイランドの昆虫採集記、いかがだったでしょうか?今回は大きなトラブルには巻き込まれずに成果をあげることができましたが、運にも助けられた部分が大きかったと実感しています。現地で誰と会うか、そしてどのように接するかによって経験できる内容は全く変わってくるはずです!
また先住民オランアスリは私たちとは違った独特な生き方、価値観がありますので、彼らと接するときはそれを理解し尊重することが大事だと思いました。村の人にとって森は自分たちの暮らしを支える何より大切なものです。そのため私は材割り、蹴り採集などの行動は控え、網を振るに留めました。長くなりましたが最後までご覧いただきありがとうございます。8月5日土曜日には私セルヴォラン主催の昆虫即売会を東京都高円寺にて開催します〜!!今回の旅で入手したマレーシアの昆虫標本も並びますので、予定が合う方は是非いらしてください!即売会特設ページはこちら↓
INSECTPORT TOKYO
2023年8月5日、東京都高円寺にて昆虫即売会の開催が決定しました!当日は200ペアを超えるクワカブ生体、400点を超える各種昆虫標本が会場に大集結します!皆様のご来場を心よりお待ちしております。
また最後に現時点におけるマレーシア採集旅行における必須道具を下記にまとめておきました。参考になれば嬉しく思います。
Wi-Fiルーター/充電用変圧プラグ/モバイルバッテリー(機内持ち込み規格は要チェック)/ティッシュ/クレジットカード類/陰性証明書orワクチン接種証明書/防寒具
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