メタリフェルホソアカクワガタ |内歯消失個体 飼育記録Vol.1

メタリフェルホソアカクワガタ
Cyclommatus metallifer metallifer
インドネシア🇮🇩ペレン島 野外採集品

成虫入手
2023年11月、購入した野外品を見て違和感に気づきました。内歯のギザギザがほとんど消失しています!
それって珍しいんか?というところではありますが、私自身も書籍や実際に目で見る機会は無かったため、割合的には少ないはずと言っていいはずです。長年オークションなどを定期的に見ている方は何度か目にしているかもしれませんが、、、

こちらが今回のブツです。
内歯が部分的に消失し、左右にポツポツと有る内歯もやや小さめです。

メタリフェルホソアカクワガタ 内歯消失個体

ちなみに下の個体(標本)はほぼ同サイズの通常個体。このように普通80mm超える大型個体は3〜4本内歯があります。

メタリフェルホソアカクワガタ 通常個体


ん、それだけ?と思う方もいらっしゃるとは思いますが、僕は鼻息荒いです。仲良い虫友に写真を見せたらインペラ感あるね〜という話になって、言われてみると確かに似てる気がします。気になって本属の進化と系統樹について調べると、面白い記事を見つけちゃいました。メタリとインペラって同じキクロマトス属の中でもそこそこ近い仲間という事で。詳しい内容はこちらの(Figure4)をご覧ください。「Molecular phylogeny and historical biogeography of Cyclommatus stag beetles (Coleoptera: Lucanidae): Insights into their evolution and diversification in tropical and subtropical Asia

ちなみにクワガタムシは複数の属・種を超えて内歯消滅の報告はあります。インターネット上ではありますが、調べたとこと既に本種も複数の飼育者から飼育での内歯消失羽化の報告があります。)また国産に限っては本土ヒラタ(新潟産)が有名で、この事例の場合、遺伝性は間違いなさそうだと判断しました。また本種においても遺伝性を実証してみたいので、貴重な機会を逃す事なくブリードします!

産卵セット
WD内歯消失オス×手持ちのパープルメスの組み合わせでペアリング。丸一日間メイトガード確認したので、栄養フレークを水分多めで詰めて産卵セットに投入。1ヶ月半後にセットから14匹の幼虫を取り出し、生オガ、ホダオガ混合のマットを詰めた800ccボトルにて管理。7月から9月にかけて成虫が羽化しました。今回の最大は残念ながら90mmには達せず、サイズを求める飼育としては微妙な結果でした。

羽化個体の掘り出し中、一頭の頭部が見えた瞬間に確信しました。内歯消失です!数年はかかるものと思っていましたが、あっけなく1世代目で求めていた結果に大きく近づけました。

固まったので蛹室から取り出して撮影!

撮影ボックスに入れて撮影〜
パープルが綺麗に撮れますね!拡大してみると若干の内歯が残っていますが、先代より消失率はアップしており、良好な結果だと思います。

今後の目標としては
1. 内歯の完全消失を目指す。
2. 内歯消失の固定率を高める
3. パープルを強化する

ひとつの系統として確立していく上では重要になってくると思います。

しかし抱えた数が少ない割には、内歯消失とパープル両方の特徴がうまく出てくれました。この個体は同腹のメスとできる限り掛け合わせて多めに飼育したいですね。最終的にはパープルホワイトアイ完全内歯消失型も見れるようになったら面白いですよね。今のところ反響は弱めで関心を持ってくれる方も少なそうですが、地道に頑張っていきたいと思います。最後までご覧いただきありがとうございました。

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